【写真下】北朝鮮の三池淵管弦楽団の公演を観覧する(前列左から)玄松月団長、金永南・最高人民会議常任委員長、金与正・朝鮮労働党第1副部長。同4人目は韓国の文在寅大統領=11日、ソウル


 【江陵=桜井紀雄】訪韓した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏ら高官代表団は11日、韓国の李洛淵首相との昼食会に出席、文在寅大統領と北朝鮮の「三池淵管弦楽団」のソウル公演を観覧した。専用機で北朝鮮に帰還する。北朝鮮は同日、代表団が10日の会談で文氏に「確固たる意志を持って決断する」よう求めたと国営メディアで報道。文氏の訪朝による韓国の取り込みに向けた攻勢をさらに加速させるとみられる。

 朝鮮中央通信によると、代表団団長の金永南最高人民会議常任委員長は、文氏との会談で「北と南の関係の全盛期を切り開くため、確固たる意志を持って決断を下せば、予想できない難関も突破し、統一の未来を早められる」と述べた。米韓軍事演習などを中止し、訪朝を最優先させろと暗に促したとも読み取れる。

 文氏が「南北関係を何としても当事者同士で解決すべきだ」と述べたとも伝えた。米国などの介入に対する牽制が狙いとみられる。

 正恩氏は9月9日の建国70周年を平昌五輪と並ぶ「民族の慶事」だと強調しており、それまでに南北首脳会談を実現し、支援を引き出す狙いがありそうだ。6月の初の南北首脳会談の記念日に合わせ、会談を提案する可能性もある。

 与正氏は特使として訪韓しただけに、文政権も特使の北朝鮮派遣を検討するとみられている。ただ、米国は3月のパラリンピック終了後の演習実施を明確にしており、米側の理解をどこまで得られるかは不透明だ。

【日時】2018.2.11 21:18
【提供】産経ニュース